【BL感想】『アンティミテ』を読んで
一穂ミチ先生の『ひつじの鍵』のスピンオフ作品『アンティミテ ひつじの鍵 (ディアプラス文庫)』を読みました。
ほとんど別もの
面白すぎです。
『ひつじの鍵』の続編だと思って読んだら、ぜんぜん違いました。
前作の舞台から10年以上経過している設定の上、色もちょっと違って、ほとんど別ものといってもいいです。
主人公の和楽くんも、『ひつじの鍵』での印象とはまったく違います(これについては後で書きます)し、前作のキャラクターもほんの少ししか出ません。
本当に別もの。
もちろん、前作と似ている部分はあります。
全体的にまあまあ明るめで、コメディ要素があるところとか。
しかし、軽くはない。
複雑な家庭事情やら、個人的な悩みやら、とかいう類の重みではなく、主人公の性格と、年齢による説得力が加わったからこその重厚感というか。
『ひつじの鍵』がポテトチップスだとすると、『アンティミテ』はポテトチップチョコレートです。
その濃厚さが、個人的には変化球レベルでした。
『ひつじの鍵』を読んだときも「この作品好き」と思ったけど、この作品も別ベクトルで面白い。
『ひつじの鍵』を読んでなくても、普通に面白く読めるレベル。
和楽が『ひつじの鍵』のときより150倍良い
そして、変化球はもう1つあります。
この作品は『ひつじの鍵』出でてきたキャラクター、和楽が主人公です。
で、その和楽くんですが、『ひつじの鍵』(の和楽)より50倍くらい良いんです。
いや、この際100倍にしときましょうか。
(もちろん私の好みは大いに入っています。)
正直なところ、『ひつじの鍵』での和楽くんは、そこまで大きな印象は残っていませんでした。お金持ちで、有名な画家の孫で、とにかく良い子……くらい。ポジション的に仕方なかったのもあるでしょう。
ですが、この『アンティミテ』で和楽くんを好きになる人は多いと思います。
『アンティミテ』では仕事ができて、金持ち特有の品の良さがあって、かっこいい。
ハイスペック男子です。
まあそういったキラキラ要素は置いといたとしても、(こっちの和楽くんのほうが)感情移入しやすい人は多いんじゃないかと思います。
1つも欠点がないほどハイスペック男子なわりに、ぜんぜん鼻につかなくて、人間味があるので。