一穂ミチ先生のおすすめBL小説はこれ。好みの順にランキング付けしてみた
一穂ミチ先生のBL小説を好みの順に並べてみました。
自分の趣味趣向のみで選んだので、世間的な人気やとっつきやすさなどは完全に無視しています。
一穂ミチ先生の作品を何冊か読んだ人、読んだことがなく、これから読もうとしている人には手に取るきっかけになれば幸いですし、
自分と同じように一穂ミチ先生の作品が好きな人なら、共感あるいは「こういう系統が好きなんだな」と同志だけにわかる規則性を感じていただけると嬉しいです。笑
一穂ミチ先生のおすすめBLランキングしてみた
【1位】おとぎ話のゆくえ
豊かな自然と澄んだ空気がただよう『田舎』が舞台の幻想的な物語。
この作品の最大の魅力は、【持つ者】と【持たない者】が、対比的に描かれているところです。
生まれも育ちも真逆の人間同士が、互いに惹かれていく様を、視点を交互に切り替えながら繊細に描かれています。キャラクターが個別に放つ魅力は言わずもがなですが、対比が互いの魅力をさらに引き立たせています。
田舎という世間と隔離された舞台が、タイトルの通り、夢の中にいるような幻想的な背景をつくっており、かつ息をのむような美しいシーンの連続。
全部好き。何もかもが好きな作品です。
【2位】アロー
社会の片隅で生きる【持たない者】たちのお話です。
この作品の最大の魅力は、キラキラしたところがないところ。
唯一あるといえば、メインキャラクターのビジュアルの良さくらいで、BLによくあるスーツをかっこよく身にまとってバリバリ仕事をするようなキラキラした描写もなければ、やたら頭が切れて社会的地位が高くていろいろ持っている……そんな王子様もほぼ登場しません。笑
それどころか、日も浴びないような夜の街が舞台。
底辺というよりは、いわゆる社会の片隅で、自分なりのリズムで毎日を送っている、【持たない者】たちのお話です。
ただそこにあるのは人と人とのふれあいだけ。
助け合って、惹かれ合って、それを日常として生きていく。このなんともいえない力の抜けた関係性と、ゆったりとした世界観が心地いい。そしてやさしい。
ある意味そこに他にはない類の美しさを感じます。
【3位】is in you
少女漫画っぽくキラキラして綺麗な作品。
アローが地下の住人なら、こちらは地上の人間たち。かわいいし、かっこいいし、なんでもできるし、モテモテ。読んでいるだけでどきどきします。
でも、ただキラキラしているだけか、というととてもそうじゃない。
全体に漂う少し重みのある空気感と、主人公のすこし冷めた性格やセリフの言い回し、そして深みのある人間描写がリアリティを感じさせる。
夢の世界のようで、現実世界のような。
【4位】藍より甘く
メインキャラクター2人の人間性の良さと、『関係性』が魅力的な作品。
ここがすべて、といってもいいくらい。「好き」という自分の感情以上、相手のことを大切にしようとするところにとても好感が持てます。
読めば読むほど、好きになる。
【5位】シュガーギルド
必要なシーンだけをぎゅっと凝縮させた美しい、ムダのない作品。
ステキな短編映画を観たときのような綺麗なまとまり方。最初に読んだ時、先が気になりすぎてほんとうに一瞬で読んだ。一瞬で読んだのに、きちんと余韻もあってずっと好きな作品。
【6位】ナイトガーデン
『ふったらどしゃぶり~When it rains, it pours~ 完全版 (ディアプラス文庫)』のスピンオフ作品。
(まだ読んでない人は、『ふったらどしゃぶり』を先に読むことを推奨)
傷を負った動物たちが慰め合うようやさしい世界観。
『ふったらどしゃぶり』と同じく、傷を負ったキャラクターが互いを癒す作品です。
「面白さ」と「キャラクター」でいえば、『ふったらどしゃぶり』が上でしょう。それでもなぜ『ナイトガーデン』を上位にしたのかというと単純に、愛の形が好きだから。
こちらは、より逃げ場がない人たち。もう本当に社会で生きられないレベル。
彼(ら)がようやく自分の休まる場所に辿り着いたという嬉しさを含めると、どうしてもこちらが上位になってしまう。
【7位】ひつじの鍵/アンティミテ
落ち込んだときに読んだら元気になれる作品。
『ひつじの鍵』と、そのスピンオフ作品『アンティミテ』。
この2作品はシリーズは同じだけど、かなり色の違う作品です。ただ、どちらも同じくらい好きなので同時に挙げてみました。
『ひつじの鍵』は、ハイテンションでエンターテイメント性が高く、軽い気持ちで読める話ですが、読後の満足感もあるというふしぎな作品。
スピンオフ作品『アンティミテ』も、これまた良い。
続編というより、完全に別もの。
食後のデザートではなく、ラーメンが来るレベル。だけど『ひつじの鍵』と同じく、エンターテインメント性も高いので、読んだあとは元気になれます。
スピンオフだと思って敬遠している人は、読まないと損。
【8位】ステノグラフィカ
新聞社シリーズ第3段『ステノグラフィカ』。
これまで紹介した作品に比べて、こちらはかなり仕事色が強い作品。基本的には恋愛がメインだけど、仕事の描写や、そこで起きる事件に多くのページを割いてる。
ただ職業とキャラクターとがマッチしているため全然くどく感じない。メイン2人のキャラも良いので楽しく読めた。
【9位】meet,again.
『雪よ林檎の香のごとく (ディアプラス文庫)』のスピンオフ作品。
ミステリアスでふわふわしていてとらえどころがないのに、好きな作品。
がっつりとした恋愛作品でもなく、わかりやすい答えが出るわけでもない。キャラクターは魅力的だけど、好感度は高くない。笑
だけど人と人との感情がきちんと触れ合っているようなところが好きですし、ちょっとどの作品でも味わえないような独特の読後感があります。
※これから読む方は、『雪よ林檎の香のごとく (ディアプラス文庫)』を先に読むことを推奨。
【10位】窓の灯とおく
恋愛偏差値0の主人公が魅力的。
スクールカーストでいえば下の下のほうなのに、ストレートに物を言うので、キャラクターに引っ張られてすらすら読めます。言葉や行動に興味をひかれて、考え方や愛し方には共感できる。
【11位】アンフォーゲタブル
他作品に比べて、仕事の描写とダイナミックなストーリー展開が魅力的な作品。
いわゆるキャラクター同士のやりとりというより、シナリオで読まされます。新聞社シリーズのなかでもとくに壮大さがあって面白かったです。
【12位】青を抱く
とにかく主人公が良いです。
単純に可愛い、というのもあるけれど、主人公が放つ独特の存在感がたまらない。
そこに美しい水の描写や、自然豊かな舞台が合わさって、とても心地よい世界観を生み出しています。
展開は賛否両論のようだけど、自分は好きな作品。
【13位】さみしさのレシピ
この作品だけじゃないけれど、このゆったりとした、しっとりとした空気感が好き。大きなものは書いてないけど、そこが良い。伏線回収とキャラクターが魅力的。
【14位】ふったらどしゃぶり
とにかく冒頭を読み始めたら止まらない。
客観的にストーリーの流れを見ると、大人の恋愛漫画や昼ドラっぽくてちょいと苦手だが、読んでいるうちはそれを忘れるくらいの面白さ。
テンポがよくてスラスラ読めて、キャラクターも魅力的で可愛い。
番外編
キス
こちらは、全体を通しての読後感は……という感じですが、世界観や設定、表現などは上位に匹敵するくらい好みな作品。
瞬間最大風速だけで計測するなら、確実に3位以内に入る。
ランク付けしてみたけど……
わからん!(笑)
一か月くらい悩みましたが、その時の気分によってけっこうかわりますね。たぶんもう一回ずつ読み返してみたら、かなり前後してしまうと思います。(1位〜4位あたりは不動だと思いますが。)
ちなみにランキングに入れていないものがあるのは、読んでから少し時間が経過しているからです。きちんと読み返してから反映させます。
ランキングを見返して思いましたが、とても偏りがありますね。
興味深いのは、すごく楽しく読めたのに『好み』という基準で考えたときには、後ろのほうになってしまうものもあったり、キャラクターだけ見れば、そこまで好みではないのに(笑)、意外と上のほうになるものもあったり。
「なんであの作品は入ってないんだ」と言われそう。
心でつながる作品が好み?
なぜかな、と考えましたが、それとなくハートフルに着地する作品より、心と心というか、魂と魂で繋がるような作品が好きなんだと思います。
世間的に人気があるのは、あっさり読めて可愛い、エンターテインメント性の高い作品だと思います。
ですが、個人的には少し重くて余韻が残る作品が好み。
設定がないのが好き
あとは、ほぼ設定がない、主張しすぎないのが好きなんですよね。
なんていうか、背景はまっしろでキャラクターだけがそこにいる、みたいな作品。
『おとぎ話のゆくえ』も『アロー』も『藍より甘く』もヒューマンドラマや恋愛がメインで、それ以外の描写がほぼない。
『is in you』も始まりは学生。
アニメ化に向いてるのは『イエスかノーか半分か』のようなアナウンサーという興味を引く設定と、スピード感ある作品なんだろうと思います。
が、私はゆったりした時間の流れで、だらだら会話してて、これといった設定のない作品が好きでしょうがないのです。笑
BL漫画だと『ブルースカイコンプレックス』、少女漫画になりますが、『僕等がいた』の学生編とか好きですし。